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身長を伸ばす

前項でもお話しした通り、最も身長が伸びる時期は男子と女子で多少のズレはありますが、小学校の高学年から中学生までがピークになります。この中には早い時期に一気に身長を伸ばすタイプの子もいれば、なだらかにピークを迎え、それを過ぎても僅かずつ長期間に亘り身長を伸ばす子もいる訳です。
身長を伸びすメカニズムは骨端線といわれる、長幹骨(大腿骨など)にある軟骨部分が増殖・増大することで行われます。
骨端線は子供の時期には柔らかい軟骨なのですが、大人になると軟骨ではなく固い骨になってしまいます。ですから、身長が伸びるのは骨の柔らかい子供時代。大人になると、この骨端線が伸びる構造ではなくなってしまうために身長は止まる訳です。骨が伸びる時、破骨細胞と呼ばれる細胞が、まず、古い骨を溶かします。そして、これをカルシウムやコラーゲンといった私たちの身体に欠かす事のできないエネルギーに変換する作業を行います。同時に、新たな骨を生成するために骨芽細胞といわれる細胞がコラーゲンを原料に骨を形成、さらに、そこにカルシウムが付着、これを繰り返しながら丈夫な骨は作られていきます。この段階でカルシウムなどが体内で不足していると骨密度の低い、運動などの負荷によって簡単に骨折してしまうような軟弱な骨が形成されてしまいます。丈夫な骨を作ることも身長を伸ばすのに欠かせない条件です。 骨の成長と身長

 

IGF-I(ソマトメジンC)が身長を伸ばす成長ホルモン

身長が子供時代に伸びるのは上記の通り、骨端線が伸びることで起こりますが、この現象を支え、また促進しているのが、前項でも何回か登場したHGH(ヒト成長ホルモン)、所謂、「成長ホルモン」で、読んで字の如く、私たちの身体の成長に大きく関わっています。当然、高い伸長効果も認められ、先天的低身長症などの治療にも効果があるとして、医療現場でも使用されています。「成長ホルモン」はその他にも他のホルモンの分泌促進、タンパク質の合成・各器官の発育にも大きく関与していることが分かっています。
「成長ホルモン」は「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」や「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」などと同じように脳下垂体といわれる頭蓋骨の底部・中心部にあるトルコ鞍という窪みの中に位置する、人の小指の先ほど(重さ約0.5g)の大きさの小器官から分泌されます。分泌された「成長ホルモン」は肝臓に働きかけ、インスリン様成長因子-1(IGF-1)といわれる成長ホルモン依存性の成長因子の分泌を促します。IGF-I(ソマトメジンC)は軟骨細胞を増殖する働きがあり、また、成長ホルモンも直接軟骨細胞に働きかけ、IGF-Iの分泌を促進するのです。IGF-Iは骨端軟骨に影響しますから、長幹骨は長くなり、身長が伸びる訳です。
こういった理由から、身長の伸びが悪いと得てして「成長ホルモン」分泌の異常を真っ先に考えがちですが、IGF-I(ソマトメジンC)分泌の仕組みを理解すれば、実は肝臓機能の低下によってIGF-Iが減少し、その結果、身長の伸びを妨げる可能性も考えられるのです。


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身長を伸ばすにはホルモンの働きを知ろう

身長が伸びる過程で身体に影響を与えるホルモンには上記で解説した「成長ホルモン」以外にも「甲状腺ホルモン」「性ホルモン」などが考えられます。身長を伸ばすにはホルモンの様々な働きをよく理解する必要もありそうです。


☆甲状腺ホルモンと身長の関わり?

甲状腺ホルモンとはアミノ酸誘導体ホルモンの総称で、のど仏にある甲状腺から分泌されます。広く知られている作用として、全身の細胞に対する代謝率の上昇が上げられ、トリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)の2種類が甲状腺ホルモンとして知られています。
私たちの身体は60兆個の細胞から作られていて、これらの細胞は一定の秩序をもって、私たちの身体で活動していますが、これが何かの切っ掛けで不安定になり、活力を失うことがあります。この時、再び、細胞を活性化させる事を生理活性といいますが、トリヨードサイロニンとサイロキシンは、その生理活性の働きを持っていることが分かっています。生理活性能力はトリヨードサイロニンの方が強いようですが、一般的に甲状腺ホルモンといわれるものの、ほとんどはサイロキシンであるということです。
甲状腺ホルモンの分泌は下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモン (TSH、サイロトロピン)によって調整され、甲状腺刺激ホルモン自体は、間脳の視床下部から放出される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH) によって調節されています。甲状腺ホルモンの作用は、甲状腺ホルモン受容体蛋白質を介して起こり、細胞の呼吸量、エネルギー産生量を増加させ、細胞を活性化します。結果として、甲状腺ホルモンの作用は良好な新陳代謝にも繋がることから、骨の成長、身長の伸び率にも関わると考えられています。


☆性ホルモンは「身長を伸ばす」にはマイナス

性ホルモンは、特に思春期の身体の成熟に関わるホルモン。副腎皮質から生成される副腎皮質ホルモンの一種でコレステロールを材料にしています。所謂、男性ホルモンと女性ホルモンの2種類があり、これらはさらにテストステロンやエストロゲンに細分化できます。
分泌の仕組みとしては「生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン」の促しによって産生される「生殖腺刺激ホルモン」の働きにより、その分泌量はコントロールされています。分泌された性ホルモンが多い場合、結果として思春期の成長バランスが早熟傾向に傾くため、骨は早く成長し、また身長を伸ばす成長期は短くなってしまいます。統計的に見ると、思春期に早熟傾向が見られず、成長期が長い人ほど身長は高くなる傾向にあり、性ホルモンは思春期の身体の成長に欠かせないものではありますが、分泌量が多いと身長の伸び悩みに繋がるとも考えられています。

身長を伸ばす期間を短くする早熟性

上記で説明した通り、身長を伸ばすのに弊害となる原因のひとつに成長が早い段階(年齢)で終わってしまう早熟性の問題があります。実は世界的な視点で身長と早熟性の関係を見てみると日本人の身長の伸び悩みは、この早熟性にあることが分かります。日本人の成長パターンは世界でも稀にみる早熟傾向にあるからです。欧米の子供たちが実にゆっくりとしたペースで成長していくのに対し、日本人の子供たちは、それこそ、「あッという間」に成長してしまうイメージといえます。ですから、その子供が、例えば175センチまで身長を伸ばす可能性のある子であったとしても、早熟が足を引っ張って、身長は十分に伸びきる前に、その勢いを衰えさせ、結果として168センチで止まってしまう、といったことも、日本人の子供たちには頻繁に起こっている現象と考えられるのです。
単純に考えれば、この日本人に多い「早熟型」傾向を欧米タイプの「晩成型」に変えられれば、身長を伸ばすことは、存外、容易であると考えてしまいますが、これはそう簡単にはいきません。個人個人の成長パターンは遺伝や生活習慣、食文化の影響、その地域の持つ環境や天候、そこに根ざし生きてきた民族的な身体の特徴など大変に複雑で、それをコントロールし「晩成型」に持っていくのは難しいのも当然といったところでしょう。
「早熟」を遅らせるひとつのヒントとして言えることは「栄養過多」に注意することでしょうか。もともと農耕民族として穀物中心の食事をとってきた私たち日本人にとって、欧米スタイルの肉中心の食事は栄養価が高すぎるきらいがあり、高い栄養を摂りすぎることは成長を早める役割をし、「早熟」傾向を後押してしまうことが指摘されています。


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環境問題として心配な「身長を伸ばす」の障害

身長の伸びに関わる成長の「早熟」傾向の問題として、ここで取り上げておきたいのが「環境ホルモン」についてです。1990年代の後半頃からでしょうか、マスメディアにも、しばしば取り上げられるようになりましたから、耳にしたことのある方も多いと思います。正確には「内分泌撹乱化学物質(Endocrine Disrupting Chemicals、あるいはEndocrine Disruptors)」といい、正確な定義付けはなされていませんが、「生体の恒常性、生殖、発生あるいは行動に関与する種々の生体内ホルモンの合成、貯蔵、分泌、体内輸送、結合、そしてそのホルモン作用そのもの、あるいはクリアランス、などの諸過程を阻害する性質を持つ外来性の物質」と考えていいでしょう。
環境ホルモンは、私たちの体内で恰もホルモンのような振る舞いをし、内分泌系を形成するホルモン、及び内分泌線に影響をあたえます。ホルモンは過剰でも不足しても身体に悪影響を及ぼしますので、それにより内分泌系は撹乱され、その働きは阻害されてしまうのです。
そんな、悪影響の中でも最も問題とされているのが生殖や発育への影響です。この「環境ホルモン」と呼ばれるものが、どのように身長を伸ばすことの弊害になるのかというと、その点とリンクしてきます。女子の場合、環境ホルモンの影響で思春期の早熟性に拍車が掛る可能性が指摘されています。成長期を短くする「早熟性」が身長の伸びにとってマイナスなのは、これまでにも何度もいってきた通りです。これが男子の場合になると、環境ホルモンによって、身体は女性ホルモンの影響を強く受けるようになり、基本的に女子よりも長いはずの男子の成長期が短縮され、身長が伸び悩む可能性がでてきてしまうと考えられるのです。また、先述の新陳代謝を促進し、骨の成長、身長の伸び率にも関わると説明した「甲状腺ホルモン」を減少させる恐れのあるものも指摘されています。
現在、環境ホルモンと疑われている物質は70種類以上もあり、私たちの身近な日用品などにも使用され、知らず知らずのうちに接触している人がほとんどでしょう。ポリ塩化ビフェニール、ダイオキシン類のほか、界面活性剤の成分であるノニルフェノール、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原料であるビスフェノールA、塩化ビニル樹脂の可塑剤に用いられているフタル酸エステルといったものが上げられます。身長を伸ばすためにはこれらの物質にも気を使わなくてはならないのです。


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身長を伸ばす、日常のアイデア

身長を伸ばす為には、私たちの日常に潜む、「環境ホルモン」の影響を極力、受けないことが大切だということは分かっていただけたと思いますが、では具体的には、どのように、これらの有害物質から自分自身や成長期で身長を伸ばす必要のある子供さんを守ればいいのでしょうか。
「身の回りにある日用品から住まい、食品から衣服まで全て天然成分、自然素材のものを使用し、化学物質を使用していると思われるものは一切使用しない」ことがベストのように思いますが、しかし、そこまで神経を使ってしまうと返って、その行為自体がストレスにもなりますし、日常生活にも支障を来たし兼ねません。そのような生活を強要する親をみて、子供さんがストレスを溜め込み、リラックスした環境を損なうようなことになれば、身長を伸ばすことに大きなマイナスになってしまう事実は前項でも触れた通りです。ここでは生活に大きな負担をかけることなく、環境ホルモンの影響を最小限に抑えられる幾つかのアイデアを紹介しておきます。



☆カテキンで環境ホルモン対策

身長を伸ばすことを阻害する可能性のある「環境ホルモン」の働きを「カテキン」が阻止することが分かっています。昨今の健康ブームで「カテキン」という言葉もよく聞くようになりました。私たちの身体を活性化し、血圧やコレステロール、血糖値をコントロールしたり、抗酸化、抗菌、抗アレルギー、アンチエイジング、などの効果が有名ですが、これに加え「環境ホルモンの抑制」にも効果を発揮するというのです。「カテキン」はご存知のとおり、緑茶などに多く含まれている渋み成分。どのように環境ホルモンの影響を阻止するかというと、それは、「緑茶カテキン」と女性ホルモンが構造上、非常に結びつきやすい性質にあるためで、この2つが結びつくことで、環境ホルモンの体内での影響力が弱まることが研究により分かっています。また、「緑茶カテキン」は女性ホルモンと結びついても、女性ホルモン自体の働きを阻害することはないのだそうです。子供さんと緑茶というのはミスマッチな組み合わせに感じますが、環境ホルモンの影響を押さえ、身長を伸ばすためにも、食後などには積極的に緑茶を飲んでみるのは効果的な「身長を伸ばす方法」かもしれません。


☆食材は出来るだけコマメにチェック

スーパーなどで食材を購入する際には、いくつかチェックしておきたいポイントがあります。まず、覚えておいてほしいのは、基本的に国産のものを選ぶ方がいいでしょう。最近は一頃に比べて食材に対する「安全面の徹底」が浸透し、原産地の表記が義務付けられたりもしていますが、やはり良く見なければ、原産地が分からないものはありますし、輸入物についても、どのような農薬が使われているか、一般の消費者には判断がつかないものです。多少、値段は高いですが、「毎日、元気に過ごすため」「子供の身長を伸ばすため」と考えて、国産ものを中心として食事を心がけることは、決して、「身長を伸ばす」方法として間違いではなく、マイナスにはならないはずです。
また、調理の際には国産、輸入に関わらず、良く水洗いする習慣を付けとおいて下さい。野菜などに身体にとって有害なものが付着していたとしても、ほとんどの場合、良く水洗いすることで、その悪影響を大幅に軽減することが可能です。食事は毎日のことですし、少しの手間を惜しんだ結果、「塵も積もれば・・・」で「身長を伸ばす」足を引っ張ることになってしまわないとも限りません。同じような意味でファーストフードやお弁当類も、あまり頻繁に口にするようになると心配です。そのようなことはないと信じていますが、食材の安全性やその扱い、調理法において、外食産業等の市場競争における利益優先とコスト削減が優先された結果、その過程で消費者の身体に関わる安全が蔑ろにされている可能性もないとは言い切れません。家族の健康を第一に考えて作られる家庭料理と企業間競争のなかギリギリのコストダウンの賜物として提供される調理済み食品とでは、安全面において、どちらに優位性があるかは言わずもがな、です。身長を伸ばすため、環境ホルモンの影響を減らしたいなら、栄養面、愛情の度合いからいっても、家庭料理が一番といえるのではないでしょうか。


☆身長を伸ばすなら食器にも気を使おう

身長を伸ばすため「環境ホルモン」の影響を考えるなら、食事に使う食器にも気を使いわなくてはなりません。プラスチック製品からは環境ホルモンの溶出の可能性が指摘されているためです。プラスチックの一種であるポリカーボネート(Polycarbonate)製の食器を給食時に使用している学校が全国は10%以上あり、実際、ポリカーボネートの悪影響は、それ程大きくはないという研究結果もありますが、中には児童への健康に配慮して今後も使用していくかどうかを検討している学校も多いといいます。ポリカーボネートはビスフェノールAと塩化カルボニルを原料に生成され、ポリカーボ、ポリカとも呼ばれるものです。軽量・耐衝撃性・耐熱性・不燃性・通電性・透明度の高さといった点で、他の合成樹脂よりも優れているため、広く日用品にも使用されるようになりましたが、「環境ホルモン」の問題で一躍、その安全性に注目が集まるようになりました。
プラスチックから溶出する「環境ホルモン」に対しては、それをガラス製、陶器製に代替することが一番の解決策といえます。これから身長も、どんどん伸びる赤ちゃん、その哺乳ビンなどもプラスチック製が普及していますが、出来ればガラス製がいいでしょう。レンジで食品を温める際などに使用する「ラップ」からも「環境ホルモン」の流出が懸念されています。小さい頃から、プラスチック容器に入った食品にラップをして、それを温める習慣を身に付けている場合、身長を伸ばす上でも悪影響は小さくさいかもしれません。多少、手間は掛りますが、身長を伸ばすためにも、プラスチック容器に入った食品は一度、ガラス製か陶器製の容器に移してからレンジで温める習慣を付けておくといいでしょう。冷蔵庫に食材を長時間保存する場合も熱が加わらないだけ溶出は少ないと思いますが、別のガラス製か陶器製の容器に移すひと手間を心がけて見て下さい。
プラスチックの溶出の問題ではカップラーメンの容器なども気になるところです。熱湯を直接注ぐ上、スープも飲むとなるとどのような影響がでるのかは想像できます。製造メーカー側は「影響はない」との見解ですが、消費者離れを嫌って紙製容器を使用した商品も発売されているようです。プラスチック容器のものを購入した際は先述の通り、ガラス製か陶器製の容器に移して食した方が安心でしょう。


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身長を伸ばすにはこんな事にも気を配る

私たちが、ほとんど毎日、口にしているジュースやお茶などの飲料類に使用されているアルミ缶、スチール缶の内側に施されているコーティングにはエポキシ樹脂が塗料として含まれています。これが出荷の最終段階で高温殺菌処理を受けるため、その高温によって、塗料内のビスフェノールAが溶出し、「身長を伸ばす」阻害要因になるのではないか、といった懸念もあります。この対策として「缶の底の白いもの」はポリエステルのフィルムを内側に張り付けているためビスフェノールAの溶出は最小限に抑えられるということです。お子さんの「身長を伸ばす」ことを考えている親御さんは、そのような点も注意してあげてください。

お子さんの身長を伸ばすためとはいえ、プラスチック容器や哺乳ビン、ラップやカップラーメン、ジュースの種類まで、気を付けなければならないことが、あまりに、ありすぎて「うんざり」してしまう親御さんもいるかもしれませんが、こういった日常の、ひとつひとつに気を付ける親御さんの姿はお子さんに「愛情」という形で伝わるはずです。身長を伸ばすには、これまでに上げてきたような物理的なマイナス要因を「まめ」に排除していくことも大切です。しかし、前項でも、お話したように幼少期に「親の愛情が不足」した子供は思春期に身長が伸び悩む傾向にある、といった報告もあるのです。心理的な影響としての「親の愛情」は身長を伸ばす上で大きなウェートを占める、それこそ最重要な事柄といっても過言ではないのです。もちろん、遺伝的な要因もありますが、子供時代に、どれだけ、のびのびと楽しい時間をお父さんやお母さんと共有できたかが、お子さんの「身長を伸ばす」ことに、どれ程、大きな影響を与えるのか、という事を忘れないでいてあげて下さい。


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